Portamento/The Drums

まだあんまり聴けていないので、かるーく雑感を。

ポルタメント

ポルタメント

昨年の新人では一番ドハマリして、来日公演もサマソニのライブも観た、The Drumsのセカンドアルバム。

すでにこのブログでも何度かペタりした先行曲Moneyをはじめ、購入前から収録曲をいくつか聴いていて、そのどれもがいい曲だったので楽しみにしていたのだけれど、、、うーんこれは……曲は粒揃いなんだけどアルバムとしては微妙と言わざるを得ない。

なんというか、簡単に言ってしまうと、アルバム通してずっと同じようなトーンが続いてメリハリに欠けるなあ、という。一曲一曲のインパクトはわりと大きいのに、通して聴くとなぜかさらーっと流れていって耳に残りづらい。昨年のファーストアルバム前にリリースされた「Summertime! EP」が、6曲入りのミニアルバム形式だったにも拘わらず、バラエティに富んでいる上に非常にバランスのとれた作品だったことを考えると、これはちょっと残念だなあと思う。

でも、音楽的な広がりがまったくなく同じような曲を量産しているのかというと、そんなことはない。「Summertime! EP」の音はどこか甘くノスタルジックなところがあって、ちょうどリリース時期にインディーシーンで一つのトレンドのようになっていた「サーフポップ」の文脈で語られることも多かったけれど、今の彼らの音はニューウェーブ色が強くなって、もっと内省的に、ミニマルになっている。しかもミニマルに、曲の焦点を精巧に当てていながら、音の持つ色彩のレンジはファーストに比べるとずっと広がった。それは彼ら自身も語っていることだし、実際3曲目のWhat You Wereにはサックスがフィーチャーされていて、これまでになかった音色が付加されている。このWhat You Wereと、続くMoneyの呪術的なまでにクネクネしたメロディーは最高なのですよ。ここはすごくいい。でも、音の色彩は広がったにも拘わらず、アルバムとしてできあがったものを聴いてみるとなぜか起伏なく単調に感じる。たぶんこれは曲順を替えたり、一つ違う雰囲気の曲を入れるだけで全然変わるんだと思うんだけど。

要するに彼らは曲を書く才能に関しては申し分ないんだけど、一つのアルバムを組み立てていくときの構成力に今一つ欠けるのだと思う。だからそのへんをうまくやってくれるプロデューサーと組んだら、すごいアルバムができるんじゃないかなあとファーストの頃から考えているんだけど、どうだろう。彼らのやりたいことをマイペースにやっていくのも大切なので、一概に「いいプロデューサーを見つけろ!」とは言えない……。ただ、今回のアルバムは内容的には微妙だけれど、ファーストから早めのアクションに出たのはよかったと思う。ファーストからセカンドで、例えば3年とか間隔が空いてしまったら、次なる一手を出すのもしんどいと思うので。これからもなるべく短いスパンで定期的に音源をリリースして、自分たちのペースで活動していってほしい。