SUMMER SONIC 2011 東京会場 2日目
遅くなりましたが、サマソニ日記2日目編でございます。やっぱりこういうのは記憶が新しいうちにまとめておくべきだった。
2日目はねごとからスタートしたいと思っていたのだけど、やはりその時間(10時20分からだっけ)に間に合うようには起きられず。最後のほうだけ観れるかなーと思ったが、私がソニックステージに到着したのとほぼ同時に終わってしまったらしい。
しかたがないので、そのままソニックでSmith Westerns待機。ライブ開始5分ほど前になって前方へ行ってみると、思ったよりも空いている。様子見の人が多いのか、出入りも多い。演奏のほうは、ヘロヘロかと思いきや案外ビートが効いていて驚き。セカンドからの曲ばっかりでしたね。ファーストの曲は2曲くらいだったんじゃないかと思うけど、セカンドと大きく変わることはなく、瑞々しくてポップでいい。All Die Young~Weekendの流れが嬉しかった。しかしここであまり盛り上がらなかったのは、ちょっと残念だな。全体的に、バンドとオーディエンスの間に少し距離があった。まあ、もっと小さな箱にぎゅうぎゅう詰めになって汗まみれで観たら、だいぶ印象も違うんだろうけど。大きなスペースを有効に使って魅せていくというのに、バンドがまだ慣れていないのかもしれない。
さらにそのままソニックに残って、お次はThe Morning Benders。これは素晴らしかった。ボーカル、クリス・チュウくんの歌がとってもいい。伸びやかで通りのいい声、好みだなあ。最終曲Excusesで「ウタイマショウ」とオーディエンスに呼びかけていたんだけど、その言い方もやわらかくてふんわりしてて可愛い。でも、いまいちどこを歌うべきかわからなくて、大合唱にならなかった。それと、やはりソニックは音が安定してますな。各パートのバランスがいい。浮遊感と祝祭感に満ちつつもしっかり地に足がついていたというか、一つ一つの音が的確で美しくまとまっていた。少し収まりがよすぎる気もするけれど、素敵なライブでしたよ。
そのあとは、またもやソニックで(インディー好きのソニック居座り率の高さ!)Deerhunter。前半しか観てなかったり、前後のアクトが素晴らしすぎたりで、いまいち記憶薄なんだけど、思っていたよりもしっかりと骨のあるサウンドで、音がヘロヘロと倒れてしまわずに、ぐっと立っていてよかった。ノイズの中にも、音の輪郭がくっきり見えているというかね。
Deerhunterを途中で切り上げて向かったのは、マウンテンステージ。すでにTwo Door Cinema Clubのライブが始まっている。去年のサマソニでよいライブを観ているので信頼はしていたものの、ソニックからマウンテンとステージが大きくなったのがどう働くかなーというのが気になっていたのだが、まったく問題なし。むしろ、よりスケールの大きい華やかなライブになっていてたいへんよかった。ステージの大きさに全然負けてない。スタジオ音源のほうは細い糸が絡み合うように美しいのだれけど、ライブのほうは広い空間に投げ出してもびくともしない力強さがある。彼らは将来、予想以上にビッグになるのではないかとこのライブ観て思った。特に日本では若手人気バンドの筆頭ですね。今UKでこういうバンドは彼らくらいしかいない気がする。最後まで観れないし、体力の問題もあるので、後ろで軽く踊ろうかなと思っていたのだが、結局がっつり踊ってしまった。このとにかく踊らせてやろうって姿勢も、キッズには嬉しいところじゃないでしょうか。改めて去年のNMEリーダーズチョイス1位に納得。
TDCCを最後まで観たい!という思いを抑え、ソニックに戻る。今年のサマソニで一番楽しみにしていた、そして一番不安だったMetronomyを観るのである。ステージに着いたのは、ライブ開始3分ほど前。すぐさま左前方にポジション取り。なぜ左かというと、キーボード/サックス/ボーカルのオスカー・キャッシュくんの定位置がオーディエンスから見て左側だから。オスカーくんはMetronomyのかわいい担当です(私の独断で決定)。くりくりの目が超キュート!この日一日、何度「オスカーくんかわゆいよ〜」と言ったことか!
はい、まあそれはさておきライブです。これは本当に本当に素晴らしかった。こんなにいいとは思っていなかったので驚き。まず、新メンバーのリズム隊がいい仕事してる。女性ドラマーによるビートは力強く安定していて、ベースはバキバキ。そのしっかりした土台の上に風変わりなキーボードとギターの音色が乗っかって、ユニークなMetronomyサウンドができあがっていく。レイドバックした雰囲気の新作の曲と独特のエレクトロサウンドが印象的なセカンド以前の曲がどういうバランスで演奏され、どんなライブになるのかという点に注目していたのだが、レイドバックな雰囲気は完全に抑えて、ライブはライブでがっつりと踊らせる方向に舵をきっていた。曲数としては新作の曲のほうが多かったような気がするが、骨組みになっていたのはセカンドの曲かな。そこに新作の曲が絡んできて、エレガントさが肉としてついていったかんじ。ステージ後ろのスクリーンに映るメンバーの似顔絵(オスカーくんが全然かわいくない)やメンバーの胸につけた丸い発光体が曲にあわせてぴかぴか光るのも含め、Metronomyらしくてとてもよかった。
その後はマウンテンに戻って、Friendly Firesを途中から。しかしMetronomyで全力を使いきってしまい、立ち上がる気力もなく、後ろでぐったり。しばらくは「遠くで何か盛り上がってんなー……」ってかんじだった。彼らのライブは万全の状態で臨まないとついていけないほどエネルギッシュだね。スタジオ音源でも彼らのパーカッションへのこだわりはよく伝わるけども、ライブではさらに熱がこもる。メンバーみんな汗だくになりながらのパフォーマンスはずいぶんとこってりしていて、ちょっと疲れてしまいそうだなとも思ったりした。しかし最後のParis~Kiss Of Lifeは圧巻。
またもソニックに戻り、The Pop Groupをちょっと観る。ひんやりと無機的な音という勝手なイメージを抱いていたんだけど、想像よりも肉感的なグルーヴがあった。跳ねるベースはいいね。そして、改めてソニックの音の安定ぶりに感心。メッセは音よくないところだけれど、ソニックは毎年PAがよい気がします。これはステージの大きさも関係しているのかな。
さて、この日初めてマウンテン⇔ソニックの往復から解放され、次はビーチステージへ向かう。名前の通り浜辺にあるステージで、海風が心地よいからけっこう好き。観るのはLittle Barrie。シンプルなロックンロールサウンドがかっこいい。それと、やはりビーチは音の抜けがいいなあ。音がカラリとした印象になる。しかしこの日はちょっと風が強すぎたな。砂がすごすぎる。靴ひもを結び直そうとしゃがんだ瞬間に風が吹いて、目に砂がバッサー入ってきた!痛い!これはもう無理だってことで早めに退散して、ライブはあまり観れず。
ビーチに行く途中、ビーチから帰る途中でマリンの前を通ったら、なんだかすごい人の数で驚く。一目でXファンだとわかる人が次第に増えている……?まだマキシマム・ザ・ホルモンが演奏していたと思うが、もうX JAPAN祭りは始まっているということか。
メッセに戻ってくると、やはり人が少ない。マウンテンのThe John Spencer Blues Explosionもかなり空いている。演奏は、ビーチのLittle Barrieとはまた違った、ちょっと渋みのあるロックンロールでかっこよかったんだけど、砂にやられたせいか完全にダウン。壁にもたれかかって半分くらい寝た。この2バンドは、本当はちゃんと前のほうで観たかった。後悔というか何というか。
ジョンスペ後は腹を満たすためにタイラーメンとバナナスムージーをソニック後方でいただく。タイラーメン、スープがとってもおいしい。海老の旨味が出てるのかな。ソニックではJames Bluntがとてもいいライブをしている。しっかりした演奏とやわらかな歌。観てる人少なくてもったいなかった。
マリン周辺の人の多さとメッセの少なさをこの目で確認した私は、この時点でレッチリを諦める。X後にどれほど人の出入りがあるかはわからなかったけれど、絶対移動は混乱するし、いいポジションもとれないと思ったから。マリンのライブはメッセ内のモニターでも観られるから、まあそれで我慢しよう。
ってことで、マウンテンでP.i.L.(Public Image Limited)を最初から最後までがっつりと。08年のピストルズ以来のジョン・ライドンとの再会である。「お久しぶりです、ライドン先生……!」とまずは挨拶。見た目はあまり変わっておらず、腹はでっぷり。白い半袖ワイシャツにネクタイ、白いベスト(2曲目あたりで脱ぎますが)という出で立ちでおられる。演奏のほうは気合い十分、おそらく練習もたっぷりで、完成度高い。各々の仕事をしっかりこなしつつ演奏を楽しんでいるようで素敵。経験を積んでいるだけあって、大きなステージでの魅せ方を熟知している。マウンテンは音がやたらでかく、ぐちゃぐちゃに混ざってしまいがちなんだけど、彼らの演奏は音圧が大きいながらも、一つ一つの音がつぶれずに聴こえてきた。
そしてジョン・ライドン。ピストルズのライブのときも思ったけれど、彼はパフォーマーとしてたいへんに優れている。あのしかめっ面と巻き舌と微妙にかわいげのあるダンス(?)で場を掌握してしまうのだ。"Why are you so quiet ?"とオーディエンスを煽るところなんて、まるで「ダークナイト」のジョーカー。ヒース・レジャーがジョーカーを作り上げるときにジョン・ライドンを参考にした(それは主に服装の話だし、参考にしたのはジョン・ライドンというかピストルズのジョニー・ロットンだけど)というのもよくわかる。若くてツンツンしていた時代のライドンとは違うけれども、これが今の彼のモード。彼は稀代の道化師であるよ。
P.i.L. 後はモニターで少しだけRed Hot Chili Peppersを。音がすごく小さい。モニターの隣がマウンテンステージだから音量下げてるのかなと思いきや、マリンで演奏してる音それ自体がとても小さかったらしい。金曜日のミュージックステーションでもそうだったが、全体に音が小さい上にドラムとボーカルばかり聴こえてきて、ギターの存在感が薄すぎる。これはパフォーマンス云々以前の問題だし、これでは彼らの魅力はわからんだろうということで、最後まで観ずに帰る。
最後に軽くまとめ。2日通してのベストアクトは、Metronomy!!ライブ前の不安を見事に払拭してくれた。オスカーくん(右から2番目)のサックスも見られて言うことなし。
今年は体力の低下を痛感したサマソニでした。涼しくなったらウォーキングでも始めようかな……。