阿修羅ガール(舞城王太郎)
初舞城。私周辺でけっこう人気のある作家のようなので読んでみた。が、これはちょっとしんどかったかも。現代の女子高生(ちょいギャル)のリアルな口調、思考の流れをそのまんま文章におこした饒舌な文体はユニークで嫌いじゃないんだけど、如何せん言葉の流れが一方向に定まらないから読んでいて疲れる。特に逆接の多さには戸惑った。私達が普段している思考の支離滅裂さの再現という意味ではすごいのだが、もう少しまとまりがほしかったかなあ。これ以上長かったら読めなかったかも。
ただ、この女子高生のモノローグも、ネット掲示板の書き込みも、「外」から若者言葉を模倣したものにはなっておらず、「こちら側」のリアルがしっかり感じとれるのがよかった。夢の話とか、発想が飛躍しまくって途中からすごい展開になるけれど、それでも私達のリアルな感覚からそれほど離れていないように感じるのは、やはりこの文章が「こちら側」にしっかり根をはっているからだと思う。いわゆる「若者」と呼ばれる(たとえ30代半ばであっても)立場に足を置いているのだ。この嘘のない感覚はなかなかいいと思った。
- 作者: 舞城王太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/04/24
- メディア: 文庫
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