Humbug/Arctic Monkeys

Arctic Monkeysの3rdアルバム「Humbug」(09年リリース)を今さらながら初聴きした。かなり賛否両論のアルバムだけど、全然悪くないと私は思う。むしろ普通に好きな音だし、断然アリ派を表明したい。

確かに、1st・2ndの性急さ(パンキッシュさ、とも言えるか)はなくなった。あのつんのめるように直線的な力強さはなくなって、かわりに広がりのある音になった。ミドルテンポのヘビーな曲中心の構成は、メンバーの若さに似合わず渋すぎる、と言われるのもわからないではない。音が成熟しすぎて「らしさ」が失われたと思う人が多いのもわからないではない。

しかし、ボトムが太く力強くて、音に締まりがあるので、彼らの一番の魅力である(と私は思っている)タイトなグルーヴは失われていない。直線的な音から空間的な音になっても、このタイトなグルーヴゆえに音が霧散してしまうことはなく、彼ららしさはミドルテンポのロックンロール中にもしっかり嗅ぎとれる。

例えば2曲目のCrying Lightning。このボトムの堅固さ。

ボーカル、アレックスの声はデビュー当時からどんどん色っぽくなっているが、特にConerstoneでの歌唱は一つの到達点だと思う。これは普通に名曲。

このあいだ公開された新曲も広がりのある音だったが、あの曲とこのアルバムの違いは、「タイトなグルーヴがあるかないか」。あの新曲には(まだユーチューブで聴いただけだから細かい点はわからないけれど)タイトなグルーヴはなかった。だから音があちこちにちらばってしまっていて、あんまり好きじゃなかった。でもグルーヴがタイトなこのアルバムは断然支持。

ハムバグ

ハムバグ