Hot Chip「One Life Stand」/Cee Lo Green「The Lady Killer」

去年買ってまだブログで感想を書いてなかった2枚のCDの雑感を書きます。
まずHot Chipの「One Life Stand」。

ワン・ライフ・スタンド

ワン・ライフ・スタンド

Hot Chipは今までに4枚のアルバムをリリースしていますが、私はこの最新作しか持っていません。といっても、デビュー時から存在は知っていて、曲もいくつか聴いたことがありました。その頃は、ニューレイブ(このムーブメントは何だったんでしょうね?)の流れにのってデビューしたバンドということもあり、エレクトロっぽい印象を持っていました。ところがこのアルバムを聴いてみると、意外にもプリミティブなダンスミュージックを鳴らしている。ちょっと調べてみたところ、どうやらバンド自身「ダンスミュージック本来の精神を取り戻したい」という気持ちでこのアルバムを制作したらしい。プリミティブで肉体的な印象を受けるのも納得です。肉体的/官能的な印象を受ける理由としてはもう一つ、ボーカルのアレクシスの歌が挙げられると思う。ルックスは典型的なナードでよくいるメガネ男子のアレクシスだけど、歌声は艶やかで色気がある。ちょっと湿ったかんじがするのもいい。メロディもなめらかで美しく、アレクシスの歌声にぴったりあっている。

驚くのは3曲目のI Feel Better。アイドルグループの曲かと思うほど、大仰でメジャー感のあるポップソングに仕上がっている。元々彼らはポップなメロディを書くけれど、これほどメジャーな方向に振りきれているとは。最初にYouTubeでこの曲のPVを見つけたときはいろんな意味でびっくりしたよ。PVではまさに、アイドルグループっぽいイケメン達が歌い踊ってます。いろいろ衝撃的なPVです(笑)。前にも紹介したけど再掲。

しかしこの曲にしたって、基本的にはワイルドでセクシーなダンスミュージックの原点に立ち返った曲であるし、6曲目Slushではゴスペルまでも取り込み、ルーツに遡っている。非常に肉体的で原始的な魅力に満ちた力強く美しいダンスレコード。

お次はCee Lo Greenの「The Lady Kille」。

ザ・レディ・キラー(初回限定スペシャル・プライス盤)

ザ・レディ・キラー(初回限定スペシャル・プライス盤)

このアルバムを購入したのは、去年のベストソングに選んだFuck Youが収録されているから。まあ、実際にアルバム本編に収録されているのは、クリーンバージョンのForget Youで、Fuck Youはボートラなんですが。最悪この曲だけでもいいくらいの気持ちで買ったんだけど、実際聴いてみると良質なヴィンテージ・ソウル ・アルバムで満足の出来でした。

さすがにFuck Youと同じレベルの最強キラーチューンは他には収録されていませんが、どの曲もウェルメイドなポップソングで心地よい耳触り。それから、シーローのソウルフルで迫力のある歌声と女声の相性がとてもいい。シーローの歌だけでも十分満足できるのだけど、女声が加わることでしっとりした艶とほんのちょっとの彩りが添えられてなめらかな音になっている。良くも悪くも、シーローはクセが強いので、女声が入るくらいのほうがポップでいいかも。ちょっとレトロで新しさには欠けるけど、シーローの歌と上質のソウルを堪能できる1枚です。

音楽ってとても言語化が難しいので、音楽のことを書くのは苦手です。このブログでもいつも映画レビューばかり書いていますし。でも今年は少し頑張って言葉にしてみようかなと思い、去年のアルバムを引っ張りだして書いてみました。聴いたときの自分の感覚に忠実に、作品の魅力を掘り下げていくような文章が書けたらいいなあ。これから頑張ります。