プリンセスと魔法のキス
「ディズニー映画を観よう!」企画(今、名付けた)の第2弾。
プリンセスと魔法のキス ブルーレイ(本編DVD付) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
- 発売日: 2010/07/14
- メディア: Blu-ray
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この映画を語る際にトピックになる、「ディズニー初の黒人プリンセスで、"王子と結婚すること"が夢ではない自立し女性主人公」のティアナは、確かに現代的なキャラクター造形。恋愛や友だち付き合いそっちのけで夢に向かって邁進する姿には、「恋人はゴースト」でリース・ウィザースプーンが演じた主人公を思い出したりした。何か一つの目標に向かってひたむきに取り組む、背筋のピンと伸びた人というのは、男性女性に関わらず魅力的。お調子者でボンクラな王子ナヴィーンが、そんなティアナに惹かれていくのもよくわかる。この二人の軽妙なやりとりはロマコメっぽくてすごく楽しかった。ティアナのような主人公像は今のアメリカのキューティー映画ではそれほど珍しくないと思うのだけど、そうやってきっちりと「最前線」に同期してくるあたりに、ディズニーの底力があるのかな(前も書いた通り、ディズニー映画はほんとにまったく観てこなかったので、わからんけど)。
でも、私がこの素敵なティアナ以上に素晴らしいキャラクターだと思ったのは、彼女の親友のシャーロット。彼女を造形できたことが、この映画の本当に画期的なところじゃないでしょうか。シャーロットは、いわゆる従来のプリンセス願望を持つお嬢様なのだけど、その価値観が古いものとして切り捨てられることはないし、意地悪な邪魔者にも決してならない。お喋り好きで友だち思いの明るい女の子として、最後までティアナのよき友であり続ける。そのキャラクターへの血の通わせ方に嬉しくなった。
数年前にハリケーンで甚大な被害を受けたニューオーリンズを、「夢が叶う場所」としてたっぷりの愛をもって描いたのも素晴らしい。と私は思うのだけど、このあたりの事情や「初の黒人プリンセス」というトピックはやはりデリケートな問題だから、本国ではすんなり評価されるというわけにはいかないよう。(ちょっと個人的な話になるけど、最近海外の文化を外から楽しむ以上、本国での評価と自分の感じ方にズレがあるのをしっかり認識しないとなあということを、よく考える。まあ、当たり前のことなのだが、外から眺める立場でけっこう簡単にあーだこーだ言ってきてしまった記憶があるからな……。)
とはいえ、この映画が傑作であるのは間違いない。クライマックスの溢れる多幸感には、ただただ涙が出た。アニメーションの力を結集した最高に美しい映画でした。