To The Treetops!/Team Me

トゥー・ザ・ツリートップス

トゥー・ザ・ツリートップス

ノルウェー出身の男女6人組によるファースト。日本盤も出ているし、今年のインディー界隈ではけっこう注目されている新人でしょう。試聴はこの一曲(http://www.youtube.com/watch?v=kxyWT-FY9vE )くらいしかしてなかったんだけど、これがコーラスワークの美しい高揚感溢れる良曲だったし、男女混合のメンバー構成やのびのびしたポップサウンドから大好きなLos Campesinos!を連想したのもあって、勢いで買ってみた。

しかし、けっこう期待して聴いたんだけど、思いのほか嵌まらなかったなあ。その後のFun.の登場で影が薄くなってしまったこともあり、実はあんまり聴けていないし。何が引っかかるというのはなくて、ハッピーなヴァイヴとカラフルなサウンドを携えたよくできたアルバムなのだが、ちょっとダラダラと長いかなあと思う。よく言えばゆったり構えてるとなるんだろうけど、私はもっと起伏やメリハリ、まとまりがほしかった。なんだか全体にのんびり、ユルユルしちゃってるかんじなので。

とはいえ、一曲一曲のおもしろさは期待以上。よく聴いてみると、一つの曲の中でギター、木管楽器シンセサイザー、ストリングス、ハンドクラップなど実にあらゆる音が鳴っていて、それぞれがユニークな響きを持っている。特に胸高鳴るドラムの存在感は際立っているだろう。各々の音は、まとまったアンサンブルを奏でるために連帯するパーツの一つというより、それぞれが独自の意味を持った個別のものというかんじ。一つ一つのアイディアが独立しているのだ。そしてそれらの集合体として、多様性に満ちたTeam Meサウンドができあがっている。それはまるであらゆる生き物が一つの世界で呼吸し蠢いているかのようでもあって、彼らの音楽にはそういうオーガニックさや土のにおいみたいなものも感じる。

更におもしろいのは、前述したように一曲の中で本当に様々な音がそれぞれ自由に鳴っているにも拘わらず、それらは激しく自己主張したり反発しあうことなく、互いを尊重したまま存在しているということ。そんな民主的でエゴレスなところが、彼らを開かれたポップアクトにしている所以なのだろう。逆にそれは私が不満に感じたユルさや牧歌的すぎるのではという印象にも繋がるんだけれども。