アニマル・ハウス

確かデヴィッド・フィンチャーが好きな映画として挙げてて、「ソーシャル・ネットワーク」と比較されていたような記憶があったので観賞。実際のところ「ソーシャル〜」とは、大学の学生友愛会がキーになるという点以外まったく異なる映画だけど、根本の精神には共通するところがあるかもしれない。

こちらの舞台はアメリカのある大学。騒ぎを起こしてばかりの落ちこぼれグループ、デルタ・ハウスを、学長と優等生グループのオメガ・ハウスが潰しにかかる。監督は「ブルース・ブラザース」のジョン・ランディスで、同作の主演であるジョン・ベルーシが出演していることからもなんとなくわかるように、とにかくハチャメチャなスラップスティックコメディ。ほんとにむっちゃくちゃなんで終始笑った。

学長たちの圧力によってクラブ解散の危機にさらされる度に、「トーガ・パーティ(古代ローマの人々が着ていたトーガのような衣装を着てパーティする、それだけ)やろうぜ!」とかくだらないアイディアで対抗するデルタ・クラブの面々がいい。会長のロバートだけは「どうしよう、次にヘマしたらクラブは解散だ、どうしよう」とあたふたするんだけど、他の連中はそんなことまったく考えもせず、もっともっとバカなことをやろうとする。「学長たちに目をつけられないようにとりあえず大人しくする」とか、そういうことを彼らは絶対にしないのだ。メンバーの一人が「何もしなくたって奴らは潰しにかかってくる、だから今のうちに楽しんでやろーぜ!」と言うように、彼らの「ひたすらバカをやってやる」という意志ははっきりしてるし、その意志は映画にも貫かれている。徹底的にメチャクチャである、それが彼らのやり方ということ。落ちこぼれから脱しようとするんじゃなく、落ちこぼれのまま楽しもうとする姿勢はパンク的とも言えるかも。まあ、やってることはほんとにヒドいし、クリエイティブじゃないけど。でもこんなバカ騒ぎが見られるのは映画の中だけだよ。

役者陣では、やはりデルタ・クラブの4年生メンバーを演じたジョン・ベルーシの存在感が際立ってた。これが映画本格デビュー作らしいんだけど、一作目の気後れがまったくない。天性のコメディアンがもつ、場を必ず自分のものにしてしまう怪物性を感じさせる。さすがに大学生には見えないだろうと思ってたら、「7年の大学生活が無駄になる」って台詞があったのには笑った。やっぱり年齢はけっこういってる設定なんだね。

他にはオメガ・ハウスの新入生役でケヴィン・ベーコンが出演。この人は本当に年をとらない。今と同じ顔をしてる。本当にエネルギーを体内に吸収して若さを保ってるんじゃなかろうか……。でもさすがにこのときは初々しくて、新入生役にぴったりな可愛らしさがあった。教授役でドナルド・サザーランドも出演してるが、まさか彼のお尻を見ることになるとは。出番は少ないけれど、さすが名バイプレイヤーと呼ばれるだけあって記憶に焼き付く。忘れた頃にあの顔が出てくると笑っちゃう。

デルタ・クラブは完全にホモ・ソーシャルの世界なんで、女の子の扱いがちょっと乱暴だったりして、まったく気になるところがなかったわけではないんだけど、バカをやることの本気さは好き。まさに楽しんだもん勝ちの映画かと。