オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式

邦題がなかなかすごいことになっていますが、決して某邦画のパチモンではありません。日本ではソフトスルーになってしまった、ジョン・キューザック主演のコメディ。

最初に映画の出来不出来とは全然関係のない話なんだけど、今回は観賞状況がたいへん悲惨でした。DVDとテレビの相性が悪かったのか、終始映像がガタガタ……。正直まともな観賞だったとは言い難い。特に序盤は映像の乱れが酷くて、なかなか映画にノれなかった。そういうわけで、ちゃんと観れなかったので感想は短めに。


それぞれ人生に悩みを抱えた中年男3人組。ある日、そのうちの一人の甥っ子を連れて青春時代を過ごしたスキーリゾートへ出かける。しかし宿泊した部屋のジェットバスで大暴れした翌日、バスタブの中で目を覚ますと、なんとカレンダーの日付は1986年。まさに3人の青春時代ど真ん中にタイムスリップしてしまったのである――

というのが簡単なあらすじ。80'sカルチャーにまつわる小ネタがいっぱいです。特に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のパロディが随所に見られる。らしい。さすがにBTTFは子供のときに観ているはずなのだが、あまり記憶がなくて元ネタはよくわからなかった。音楽ネタはだいぶ理解できたのだけど。BTTF観たら「あー!」と膝をうつところが何ヵ所もあるのだろうなーと思うと悔しい(?)のだが、しかしそれでもおもしろかった。それは、本作が単に懐古映画で終わらないで、しっかり今のコメディになっていたからだと思う。

主人公3人にとって、80年代というのは決して「あの頃はよかった……」だけの時代ではない。確かタイムスリップ直後には、ジョンキューが「80年代になんて戻りたくない!」というような台詞を言う。いい思い出もたくさんあった、でもあの時のあの失敗が今の人生にまで尾をひいている。彼らにとっては「あの頃ああしておけばよかったのに……」の時代でもあるのだ。しかしだからこそ、彼らの「大切な」時代であることに間違いない。良くも悪くも自分達を形作ったあの時代。それに向き合うことは、「あの頃に戻りたい」というノスタルジーとはまったく異なる。もちろん80's愛はそこかしこに感じられるのだけれど、ただ「すべてがうまくいっていた」時代として描かないで、記憶の嫌な部分にもちゃんと触れているのがよかった。

こういった映画は特に真新しさがあるわけではなく、ジャンルとしての蓄積はたっぷりだと思うのだが、その蓄積を活かしてなるべく説明を省くサクサク展開には最初は少し驚いた。しかしそのおかげで、映画の体重が軽くなったというか、加速がつきやすくなっているんだなと途中で思い直す。たくさんの小ネタを散りばめつつ、見事に伏線を回収していく、その足どりがとても軽やかでいい。元ネタありきのことをいろいろやっているんだろうけど、メタメタにはならない匙加減はさすがアメリカのコメディ。

クライマックスは加速つきすぎで宇宙飛び出ちゃったみたいなかんじなんだけど、これは「コメディなんだぜ、笑おうぜ」ってことなのだと思う。あくまで笑わせてやろうっていう姿勢を崩さない。だからやっていることはけっこう酷くて下品な笑いが多いんだけれど、そこに言い訳がなかった。まあ全体に都合のいいストーリーで、女子の描き方が微妙だったりするし、ツッコめばいろいろ出てくる映画だとは思う。でもそれよりも「コメディなんだぜ、笑おうぜ」ってことで、映画にのせられちゃったもん勝ちではないでしょうか。

気力があったら後でちょっと補足します