28週後…

ノーカントリー」感想は書くのに時間がかかりそうだから、まずは「28週後…」の感想を。記憶がかなり薄れつつあるので、ツイッターでつぶやいたことを踏まえつつ覚えてることをちょこっとだけ。一応書いておくと、「28週後…」はダニー・ボイル監督、キリアン・マーフィ主演のゾンビ映画「28日後…」の続編です。

まあ個人的には何といっても「ジェレミー・レナーーー!!!」な映画でした。はい、しつこくてすいません。でもこんなにかっこよくてかわいくて兵士の格好や警官コスプレが似合う40歳はなかなかいないと思うんですよ。40歳のおっちゃんをかわいいと言う18歳もなかなかいないかもしれないけどさ。

これはとにかく疾走感が素晴らしい作品。ラストシーンで「あれ、これでもう終わりか!」と思ったほど、あっという間の104分だった。ホラーというよりパニックムービーのようで、最後まで息もつかせぬ怒濤の展開。さらに情け容赦というものがこの作品には一切なく、普通考えうる展開を豪快に裏切ってくるものだから、観ている間「うあー」とか「わー」とか本当に声をあげそうになった。淡々とした展開でとにかく寂寥感の目立った前作とは対称的。

また、「全力疾走するゾンビ」という新しいゾンビ像を確立した映画でありながら、ゾンビそのものがあまり登場しなかったという前作に対して、本作はゾンビの見せ場をちゃんと用意し、その「走る」という特徴をしっかり生かしていたのがよかった。例えば冒頭のロバート・カーライルがゾンビ達に追っかけられるシーン。ここでの演出がまた疾走感に溢れていて良い。視界が四方に広がっていて、平坦で明るい野原を走っているから、たくさんのゾンビ達が飛び出してきたのがわかりやすいし、空撮でゾンビとカーライルの距離感や野原の広々としたかんじを見せてるのも親切。ゾンビを見せる工夫がしっかりなされている。

ただ観ている間は疾走感たっぷりでなかなか楽しかったんだけれど、後味は良くない。というか、はっきりいって少し腹がたった。それは作り手に対してではなくて、映画の中の人々に対して。とにかく「説明不足」すぎるんだよ。一言いっておけば解決していたであろうことが多すぎる。なぜ「この子供達はレイジウイルスに対する抗体があるかもしれない」と言っておかないのか。登場人物達はみんな一生懸命なんだけれど、しかしそれにしては絶望的なまでに愚かというか……たぶん監督もわかっててこういう人間像を撮ってるんだろうけど、これは私にはしんどかったかな。あの容赦ない展開のあとにあのラストシーンがくるとがっくりくるというか、疲れがどっと出るというか。この絶望的な風景を無垢な子供の姿に重ね合わせるから、尚更辛いんだ。子供に罪はなくとも、彼らの背負ったものは大きすぎる。

やっぱり、ラストに爽やかな希望を感じさせる前作のほうが、中盤少し退屈ではあるけど、私向きかもなあ。