ファイト・クラブ
チャック・パラニューク著の「ファイト・クラブ」原作を読み終えました。読了したのは先週の土曜日なので、1週間ほど感想書くの放置してしまいましたね。ほんとは読み終えた直後に書くべきだったかな。たぶん読了直後だったらすごくテンション高い文章書いてる気がする(笑)。めちゃくちゃおもしろかった。ほんとにほんとにおもしろかった。映画版と同じくらい好き。というか、この文体は小説版フィンチャー?ってくらい映画版に近かった。いや実際にはどちらかというと映画版パラニュークのほうが正しいけど。しかしまあこの作品の魅力をうまく紹介するってのは私には無理な気がしてしまうんだぜ。ちょっとでも気になってる人は読め!それ以上にいい言葉が見つからない。何を書いてもこの作品のソリッドな文章には敵わないだろう。だから思ったままダーッと書いてみることにした。文章破綻は気にしなーい。
- 作者: チャックパラニューク,Chuck Palahniuk,池田真紀子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1999/02
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
ストーリーは映画版以上にぶっ飛んでいて、私達の価値観を揺さぶる内容。それでいて最後はしっかり着地するのだから素晴らしい。あっちこっちに手を出して収拾がつかなくなってしまった話というのはいくらでもあるが、この作品はしっかり広げた風呂敷をたたむのだ。
とにかく気持ちがいいのは、序盤からまったく隙のないつくりになっているということ。後に明らかとなる「衝撃の事実」のための伏線が実に無駄なく見事に張られているのだ。何気ない息抜きの文章がこの作品にはない。しかし読むのが辛くなるということもない。それはパラニュークが情報をさばく能力に長けているということなのだと思う。どの文章もびしっときまっていて、ここぞというポイントを押さえながら、読み手の脳内に言葉を流していく。だから気持ちいいのだ。この快感!これはまさしくフィンチャー作品を観たときの感覚と同じではないか。
この作品を映画化するにあたって、フィンチャー以上に適任な監督はいない。何が素晴らしいって、フィンチャーが原作に迎合する必要なんて最初からまったくないというほどパラニュークとフィンチャーの作風は共鳴してるってことだ。そんな監督が、映画化する際にちょうどよく見つかった。この奇跡。ほんとにグッドタイミング。二人とも小説にしか、映画にしかできないやり方で、スピーディーで濃密な中毒性の高い物語を描き出しているのである。
また映画版で主人公を演じたエドワード・ノートンが原作のあの大量のモノローグを完璧にものにしているのも素晴らしい。あのスピード、あの声、あの間。あれでパーフェクト。原作の、言葉がグルーヴをもって雪崩れ込む、あのかんじがずばり本物の声で再生されているのである。そして、原作ではあまり容姿について触れられていないタイラーにブラピを配したのがまたいい。彼ほど絞られた肉体で男前な俳優を起用する必要は、原作を読む限りではないのだが、しかし彼をタイラーにしていなければ、あの映画版はここまで語られる作品にはなっていなかっただろう。フィンチャーの目はやはりすごいのだ。
原作、映画ともに非常に素晴らしい作品でぶっ飛ばされました。パラニュークの作品は「サバイバー」も死ぬほどおもしろいらしいので、こちらも早く読んでみたいな。
※いつまでも感想書くの先延ばしにするのもどうかなあと思い、とりあえず大まかな雑感書きましたが、原作そのものの考察と映画版との比較はいずれもっとしっかりした形でやりたいと思ってます。とりあえずめちゃめちゃおもしろかったんで、気になる人はぜひ、絶版中だけど探してみてください。考察のほうはいつか必ず!