【ライブレポ】 Scissor Sisters@Zepp東京‐20110209

昨夜のZepp東京でのシザー・シスターズLiveレポです。シザーズのライブは初めてでしたが、いやー楽しかった!踊りまくったよ。ライブ体験を言語化するのってかなり難しいけれど、記憶を辿りながらつらつらと書いていこう。

今回のライブは、昨日も書いた通り、ツイッターで以前からやりとりしていたvertigoさん(まだあまり世間に知られていないイケメンをいつも紹介してくれるイケメンハンターさん!)とその妹さんと行きました。お二人と合流したあたりからライブが始まるまでを短めに記しましょう。まず17時頃に青海駅でvertigoさんと合流、ファーストキッチンへ。紅茶やらコーヒーやらを飲みつつ、まったりといろんな話をしましたね。学校のこととか家のこととか。

vertigoさんが本やDVDをお土産にと貸してくださいました。

本はドン・ウィンズロウの「フランキー・マシーンの冬」。彼の小説は「犬の力」と「ボビーZの気怠く優雅な小説」だけ読んだことがあります。むせ返るような血と色気の匂いとぐいぐい読ませる物語の力が魅力的な作家さんですね。この「フランキー・マシーンの冬」は元殺し屋のサーファーのおっちゃんの話だそうで、それを聞くだけでもめちゃめちゃおもしろそうじゃまいか!DVDのほうは日本では全部ソフトスルーになっている映画です。vertigoさんありがとうございます。全部じっくり鑑賞いたします。

18時頃にvertigoさんの妹さんが合流。これまで私とはまったく交流なかったですが、非常に気さくな方で、その順応力の高さに私はたいへん驚かされましたよ!お二人の話を聞いてるだけでも楽しかった。

さあさあ、そろそろZepp東京に入りましょう。時間は18時半くらいかな?やはりシザーズのライブともなると、ドラァグクイーンの方がちらほら。頭が通常の3倍くらいの長さになってる人とかいました。あのウィッグはどうやって接着してるのかしら、重みで首が持っていかれたりしないのかしら、とかそんなことばかり考えてしまった(笑)。でもいいなあ、コスプレとか楽しそうだなあ。

フロアに入ったのはたぶん開演時間ギリギリかちょっと過ぎたあたり。まあどのライブも開演時間ぴったりには始まりませんからね。でも昨日のシザーズはちょっと押してたほうじゃないでしょうか、時計もケータイも持ってなかったんで正確な時間はわかんないけど。ライブが始まる前はDJがいろいろかけてました(雑な説明)。ちなみに私達のいた場所は左サイドの後方。

そしていよいよ照明が落ち、ライブスタート!まずはベイビーダディ(名前がかわゆすよ)やデル・マーキーらバンドのメンバーが登場し演奏が始まります。そこへジェイクとアナ様がザッザッと二人で足並みを揃えながら登場。か、かわいい……!!アナ様は光沢のある赤いドレス。ジェイクはピッチピチのテッカテカで胸が大きく開いた黒の何か(名称のわからない服)。うわああ、これぞNYのゲイカルチャーから飛び出したパフォーマンス集団、シザー・シスターズだあ……(感動)!1曲目はサードアルバムのOP曲Night Work(これ以降の曲順はまったく覚えてないので、どこかでセットリスト拾ってきたらあとで追加しときます)。ライブの幕開けにふさわしいナンバーですね。だって「夜のお仕事」だもの。「これが僕たちのお仕事だよ、ショーを楽しんで!」ってことかい?もちろん目一杯楽しみますとも!

音は私達のいた場所のせいもあって、すごくいいとは言い難かった。ジェイクも最初は音を合わせるのにちょっと失敗したみたいだけど、すぐに修正。さすが。彼の高音域のクリアさと歌唱力、そしてスタミナは本当にすごい。生で体感すると半端ないです。特に彼の歌の力を思い知らされたのは、ファースト収録の名バラードMaryのときでしょうか。この曲はライブ中盤で歌われたので、ジェイクは既に相当歌って踊っていたあとなんだけど、全然声が弱くなっていなかった。情感たっぷりでタフネスもあり、すごく美しかったな……。

これまで、アナ様はライブでのパフォーマンス部分を重点的に担ってる人なのだろうと思っていたけれど、実は歌のほうもかなりできる人でした。彼女がメインボーカルをとる曲が各アルバムに1曲ずつ、計3曲あります(たぶん)が、その3曲以外でもかなりジェイクのサポートをしていた。初めてライブに来て言うのもなんですが、アルバム3枚と昨日のライブの印象から、彼女はどんどん歌がうまくなっているのではないかと思う。もちろんパフォーマンスもキュートかつ力強くて(この二つは矛盾しない)、ライブ全体を引っ張っていく存在でした。Skin This Catでバックコーラスの女の子達を従え妖艶に歌いくねくねと踊るアナ様、素敵すぎます。この曲の間ジェイクは舞台袖に引っ込んでいて、戻ってきたときには赤いピッタピタの衣装に変わってた(笑)。

アナ様とジェイクの二人が動きを合わせて踊る場面が何回かあって、それがものすごくかわいかった。たぶんAny Which Wayのときかな、DJ OZMAの「ナーナーナナナ」みたいに(こんな例えでごめん、でもこれが一番的確)両手を真横に伸ばして体を左右に揺らすのが特に好き。しかも客席に背を向けて、ムチムチのお尻をプリっとオーディエンスに見せつけながら揺れるのよ、まあ下世話。他にも曲ごとにいろいろ振り付けがあり、できることなら全部覚えて帰りたかった。

それでね、今回のライブでむちゃくちゃよかったのはデル・マーキーくんのギター。彼はちょっと大人しそうな見た目をしているし、キャラの濃いメンバーの中では目立たないほうだと思うけど、ライブでのギターパフォーマンスは超かっこよかったです。彼らの曲はけっこうハードロック色が強いものも多いのですが(ハードロックサウンドがゲイカルチャーを通過するとこうも怪しい艶が出るのかね!)、そうした曲でいかにもハードロックなギターをギュイーンと鳴らすデル・マーキーくんの姿!かっこいいぞ!初めてかっこいいと思った(笑)。

彼らはある意味職人的とすら言えるプロフェッショナルなパフォーマンス集団なんだけど、そのパフォーマンスは、大がかりなセットを使ってドカーンと花火を打ち上げて、みたいな身体性に欠けるものではなくて(そういうパフォーマンスも楽しいけどね)、生きた人間の暖かみを感じるような、みんな(私達も含め)の手で作り上げてるっていう一体感を抱かせるものなんだよね。「パフォーマー」というだけでなく、「ロックバンド」としても堂々とした風格を感じたし、サードアルバムで掴んだ彼らなりの「王道」(サードにはこれまでのアルバムにはないロックバンドとしての自信と風格があります)をこのライブでも示してくれたと思う。いわゆる、ロックバンドのライブに来たときの、「かっけー!ギターにベースにドラム、超かっけー!」っていうプリミティブな(バカっぽい?)興奮も得られるのですよ。リズム隊のベイビーダディとランディ・リアルの職人的なお仕事も見事。ファンキーでした。

本編ラストの曲はファースト収録、超下世話で超大好きFilthy/Gorgeous!!アルバムではかなりハイテンションな曲ですが、ライブでは少しまったりとスペーシーなアレンジに。「Cuz you're filthy」での爆発力、ビッグバン級です。

そして本編終了。数分間のアンコールの拍手あと、再びメンバーがステージに。ジェイクとアナ様はたぶん二人とも銀色の衣装に着替えていた。アンコール1曲目はFire With Fire。この曲は本当に感動的。「Tomorrow has become today/明日が今日になった」ってフレーズがお気に入りで、サウンドも夜明けを感じさせてすごく好きなんだけど、でもああ今はまだ「明日が今日」にならないでおくれと思いながら聴いた。もうすぐライブも本当におしまい。

と、ちょっとしんみりしてきたところで、アンコール2曲目はI Don't Feel Like Dancing。この曲が私的沸点でしたって話は昨日書いたのでいいでしょう。この曲が、曲名は「踊りたくない!」なのに曲自体は踊ることの喜びを全身で表しているような音であること。あるいはセカンド2曲目のタイトルがShe's My Manであること。彼らはこういった倒錯的な、ちぐはぐなモチーフをよく使うバンドです。だってほら、ライブに来てたドラァグクイーンやコスプレをした人達だって、ほんとのところ男か女かわからないもの。隣で騒いでた酔っぱらいの兄ちゃん達(ほんとにうるさかった)だって、そうだそしたら私だって、性別なんてわからないもの。そういうところを超えて音楽にただ身を委ねる、あれはそういう場所だった。アナ様もライブのはじめのほうで「今夜私達はおホモ達よ!」って言ってたもんね(笑)。

アンコールのラスト、ほんとにほんとの終わりはサードアルバムの本編最終曲Invisible Lightでした。この曲はすごくライブ映えする曲。ダンスミュージックって全然詳しくないんだけど、あのジャンルの音楽って、恍惚とした、どっかに心を持ってかれちゃうようなかんじがあるでしょ。この曲はまさにそういう音。みんな音の中に体が溶けていって、混ざっていくような。だからライブが終わって明かりがついたときは、幻が消えたってかんじだった。

実は今回彼らのライブに行って、初めて彼らのことを「かわいい」と思った。彼らは非常にユーモラスで下世話なパーティー集団で以前から大好きだったけど、キュートさはこれまで感じたことがなかった。でも今回、ジェイクとアナ様が二人で動きを合わせて踊る姿とかを見て、すごくかわいいと思ったんだよね。それは「道化師のかわいさ」だろうと私は思う。あるいは子供達を楽しませようとカチャカチャ動く人形のかわいさ、というとちょっと皮肉っぽいか。彼らは彼ら自身をフルに使って、みんなを笑わせよう、楽しませようとしている。そのときに生まれるかわいらしさ。可笑しさ、にも似ているかも。そして、道化師が必ずといっていいほど孤独な存在として描かれるように、彼らの音楽にも孤独がある。ハッピーで猥雑な音の裏に、ぽっかりとした穴が一瞬見えるような。その空っぽな部分をみんなで埋めようとして、ジャカジャカと音を鳴らしてパーティーしまくるんだろうなあ。最高。素敵。

最後に物販でゲットしたものいろいろ。まずTシャツ。鮮やかなピンク色がかわいい。

バックプリントにはハサミさん。さすがの脚線美。

さらに、Tシャツ買ったときに、欠損品なので無料で差し上げますと言われ、もらったのが、前のアルバムのときのツアーパンフ!豪華な装丁、これをタダで頂けるなんて!

でもね、私のだけみんなのに比べて欠損がひどかった(笑)。中にはまずこんなふうに↓開くパンフレットが。

さらにこういうパネルみたいのが何枚も。まだドラムがパディー・ブームのときだね。

そしてこんな大きなポスターまで(私の手の大きさと比べて)!すごーい。

いやー、それにしても最初から最後までめちゃめちゃ楽しいライブでした。また来日したら絶対行く!次はフジで観てみたい気もするなあ。