The Rhumb Line/Ra Ra Riot
08年に本国アメリカでリリースされ、昨年ようやく日本盤化されたRa Ra Riotのファーストアルバム「The Rhumb Line」を聴きました。若い。瑞々しい。なめらかに洗練されたセカンドアルバム「The Orchard」に対して、こちらはフレッシュなインディーギターバンドとしての魅力が炸裂した一枚。
フレッシュさと同時に、ダークネスというか、ザラッとした衝動を感じさせるのがまたいい。剥き出しのパンクな精神というか。爽快でポップで耳馴染みのよい音のようでいて、飲み込もうとすると簡単には飲み込めないゴロゴロとした感触がある。ちょっと不器用なくらいに力がこもっている。セカンドを聴いて、すごく伸びやかで自然体な音を鳴らすバンドだと思っていたから、このパンキッシュな若い姿勢にはちょっと驚くと同時に、以前にもまして彼らに肩入れしたくなってしまった。
Ghost Under Rocks
1曲目Ghost Under Rocksに上で書いたようなことが端的に表れていると思う。ちょっとダークでエモーショナルなメロディ。若さゆえの焦燥感がいろんなものを引きずりながら走ろうとして生まれる特別な疾走感。メンバーのルックスも大学生っぽさが抜けきっていない。このPVを観ると彼らのコミュニティとしての一体感も伝わってきて、それがまた素敵なのだ。お互いのエモーションをぶつけあうように音を奏でている。
Can You Tell
Ghost Under RocksのPVもそうだけど、色づかいがいい。この曲は「My bed's too big for just me」なんてラインのある、とってもキュートなラブソング。しかしこのラインにも表れているように、キュートさの裏に孤独も感じる。孤独とポップネスが同居する音楽は素晴らしい。
Too Too Too Fast
若さといえば、7曲目のToo Too Too Fastがすごくいい。私がこのアルバムで一番好きな曲。非常にギターバンド然とした疾走感溢れる音でボーカル・ウェスの歌い回しがかっこいい。彼らも60年代から綿々と続いているロックバンドの精神を、形は異なっていても、引き継いでいるのがわかる。
セカンドアルバムは、そうした彼らのパンキッシュな一面をも消化しポップミュージックとして熟成させた、非常になめらかで有機的な「深化」の一枚だと思うのだけれど、このファーストではそんな彼らの「原点」がありのまま提示されている。確かに同じNYのバンド、Vampire Weekendのファーストにも近いものを感じるし、この2バンドがセカンドアルバムで同じ精神を保ちながらそれぞれに自分達らしさを確立していったのもおもしろい。
「はじまり」の瑞々しさと焦燥感の詰まったRa Ra Riotのファーストアルバム「The Rhumb Line」、おすすめです。
- アーティスト: ラ・ラ・ライオット
- 出版社/メーカー: Hostess Entertainment
- 発売日: 2010/07/07
- メディア: CD
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