ゾディアック

おととい観た「ゾディアック」の感想を書きたいと思うのですが、なんだか全然うまく言葉にできないので短めに書きます。

これは、「ソーシャル・ネットワーク」の公開が間近に迫っている、デヴィッド・フィンチャー監督の2007年の作品。アメリカの非常に有名な連続殺人事件、いわゆるゾディアック事件の解決のため奔走した男達を描いた、実話を基にした物語です。物語の軸になる登場人物は、漫画家のグレイスミス(ジェイク・ギレンホール)、新聞記者のエイブリー(ロバート・ダウニー・Jr.)、刑事のトースキー(マーク・ラファロ)の3人。この3人が真相究明のため奔走した20年余りを丁寧な描写で見せていきます。

20年もの歳月の中では、事件にかける彼らの情熱も変わっていきます。3人が3人とも初めと同じように何年も情熱の炎を燃やし続けることはできない。燃え尽きてしまったり、内側でくすぶっていたり、逆に日に日に燃える勢いが増していったり……それは三者三様。共通しているのは、事件に引き寄せられ、翻弄される人生を送ったということ。犯人に近づいているのか遠ざかっているのかもわからないまま事件を追い続ける彼らの情熱は、正義ではなくむしろ執着だから。次第に3人は違う方向に向かいながらも(最初から協力しあってたわけじゃないんだけどね)、やはり根っこの部分でゾディアックに囚われているのは変わらない。そんな3人の男のドラマを、じりじりと燃える炎を撮るように描き出し、フィンチャーらしい艶のある作品に仕上げている。そしてその3人を演じた俳優陣が素晴らしい。主演のジェイク・ギレンホールの純真でまっすぐな演技もいいし、ダウニの燃え尽きていく男になりきる演技もさすが。しかし個人的にはトースキー役のマーク・ラファロが一番よかった。トースキーは犯人を逮捕したいという情熱は持ち続けるものの、グレイスミスのように愚直に突き進むことはできない。そのくすぶっているかんじを、少し抑制をきかせながら見事に演じきっている。

それからこの作品でグッときたのは音楽の使い方。冒頭の殺人の場面、犯人から新聞社に手紙が送られてくる場面、グレイスミスが捜査資料をあさる場面……他にもいろいろあるが、あらゆる場面で音楽が効果的に使われておりゾクゾクさせる。

うーん、やっぱり全然うまく言語化できないんだけど、とりあえずこれくらいにします。情報量が多く、前半は散漫に感じるほどだったので、たぶん一度観ただけでは作品全体を消化できてないんでしょう。何回か観ればまた感想も変わるかな。うー、悔しい。今までで一番もどかしい文章になってしまった……。

ゾディアック 特別版 [DVD]

ゾディアック 特別版 [DVD]