キック・アス

年内に2回目の鑑賞をしてから感想書くってちょっと前まで言ってたんだけど、なんかそれもめんどくせえなと思ったんで、メモ書きだけしちゃう。

まずざっくりとした感想を言うと、おもしろかったです。非常に楽しかった。笑ったし、アクションも気持ちよかったし。でもね…ってところがちょっとあって、そこを軽く記す。

個人的に不満、というほどじゃないが、アレ?と思ったのは、想像の範囲内のおもしろさだったなってこと。これは私がハードル上げすぎたから越えられなかったとか、そういうんじゃない。期待値がどうとかの問題じゃなくて、私が想像しうるおもしろさの枠内にとどまってたということです。激しいバイオレンス描写も、そこに何の解答も設けていないことも、オタクテイストも、ほんとアンタそういうの好きだよねっていうしょーもない笑いも、全部マシュー・ヴォーンが作るものとして想像がつくというか、そうなるよねっていう方向にしか行ってないと思った。でも想像の範囲内だから退屈したってわけじゃないよ。さっきも書いたように、笑ったし楽しかった。でももっとねじれてて、突き抜けてて、異世界に連れていかれるくらいの代物かと思ってた。だから逆にいうと、マシュー・ヴォーンって至極まっとうな映画を作る人で、それは「スターダスト」を観ても明らかなんだなと、そしてその基本姿勢はこの作品でも変わらないんだなと思った。

あとツイッターのマイTLでのノレなかった評で言われてたことがほんとおっしゃる通りで、そういう脚本的な詰めの甘さや最後にキャラクターが一回り成長してないじゃんってとこが改善されれば、大傑作だったかなと思う。ちょっとしたことで全然変わるじゃんというところが目立つんで、どうにも具合が悪いかんじがしちゃうんじゃないかなあ。と同時に、「スターダスト」ではわりとしっかりした脚本書いてたと思うんだが、じゃあこの作品の脚本はなぜユルい(暴力の裏付けは復讐っていう筋を「一応」通しましたってかんじ)っていうのを考えると、やっぱり原作との絡みがあるのかなと思います。原作はもっと現実的な痛みを見せつけるかんじで、映画はそのへんをわかりやすくまとめてるらしい。だからこの一応筋通しましたよ的ユルいストーリー展開も、むしろそつのなさの表れで、これがまたさっき言った「想像の範囲内」に繋がってる。あと良くも悪くも、興味と愛情だけで作られた映画だなと思う。ギャング映画やアメコミへの愛情、オタク精神。これを形にしようって映画なんだろうな、と。キャラクターがどう成長し、どんな解答を用意するか、ってところに重点は置いてないというか(だからそれを汲み取ってやろうぜってことじゃないですよ、もちろん)。オタクな映画愛、漫画愛と、マシュー・ヴォーンのつくるまっとうなおもしろさ(ベタともいえるか)がいいバランスで成り立ってる作品かなと私は思います。それで最終的に、この人「ロック、ストック〜」の畑から出てきた人だもんね、ってことを思い出した。

そんで一番気になったというか、不満に思ったのは、めっちゃ続編作れるかんじで終わったってことで。いや続編やったら観に行くけどさ。でもなんか開拓してない土地を広々と残してきやがったなって思う。私としては、土地は切り開きまくって、木は焼き尽くして、焼き直しの映画が絶対作れないように、それどころか自分たちが続編作る余地もないくらいにボロボロの荒れ地にしてしまってほしかった。あれだけやり残したことがあるとやっぱり中途半端な印象になるし、キャラクター成長してないじゃん問題の原因の一つがこれではないかと思う。まだ序章ですからって言われてる気がする。もう少し短く編集すればドラマの第1話になりうるかんじ。でもラストカットかっこよかったんだよね。

かなり否定的なかんじになってしまったので、気に入ったところを書くと、まず役者陣がよかったです。というか役者に助けられたところ多いと思う。ヒットガール、ビッグダディ、レッドミスト。特にビッグダディ役のニコラス刑事はほんとに最高でした。ただ肝心のキック・アスくんの活躍が少なかった、これも続編でって言われてるようなかんじでちょっと納得できんよ。それとデクスター・フレッチャーとジェイソン・フレミングをもうちょっと使ってほしかった。あと暴力がどちらの立場にも対等に与えられる点はいいなあと思いました。細かい笑いにはいちいちツッコむ必要ないと思うけど、こういうしょーもない笑いは「スターダスト」でも隙あらば挟み込んでたので、やっぱりマシューこういうの好きなんですねえ。

とりあえず雑感はこんなかんじ。ほんとに殴り書きになった。また後々ちゃんとした記事書きます。今日はもう眠いから寝ます。