ウディ・アレンのバナナ

けっこう久しぶりに映画観ました。2週間ぶりくらい?観た作品は、タイトルにもあるように「ウディ・アレンのバナナ」です。ウディ作品はいくつか観たことがあって、「アニー・ホール」なんかはもうすごく好きな映画だったりします。この「ウディ・アレンのバナナ」はタイトルとパッケージが強烈で、ゲオで見かけるたびに気になってしょうがなかったので、ついに借りちゃいました。

大統領暗殺をスポーツ中継に見立てちゃう冒頭から、これぞウディ節な皮肉とツイストのきいたユーモアが光ってます。ウディの作品は1時間半前後でコンパクトにまとまってるものが多いんだけど、その短い作品の中にありったけの笑いを詰め込んでくるところが、さすがコメディアン出身というかんじ。しかもトゥーマッチで暑苦しいということはなく、いつも軽快なジャズの音色にのって軽やかさを忘れない。一筋縄ではいかないシニカルで知的で、でも冷淡ではなくおちゃめで、どうしようもなくくだらない笑い。ウディの笑いのセンスって私のツボのど真ん中です。終始にやにや、時折爆笑してしまいます。

この作品でも笑えるところはいっぱいあるんですが(というか休む暇なく小ネタをぶちこんできます)、私が観たことのある他のウディ作品に比べて、政治的・時代的な皮肉やムードを取り込んでいるのが、この作品の特徴かなと思います。舞台となる南米の小国を牛耳るのは軍事独裁政権。そして革命を企てる反乱軍のリーダー。権力を握ったとき、この二者の間に違いなどあるのだろうか?中盤は非常に皮肉がきいてて、とてもいい感じだなあと思いました。思いましたが、ラストに向かうにつれ物語がなくなっていったのが惜しかったです。シリアスになるのを避けたのかもしれないけど、最後まで物語の力で見せきってほしかったな、と。ウディ作品の基調は悲哀のユーモアだと思ってます。この作品でも自虐と失恋を中心にした悲哀の笑いがそこかしこに見られるんだけど、ラストにそれがなくて、そこがちょっと不満だったり。

あとちょこちょこっとメモ書きしておくと、舞台は南米なのに音楽はいつも通りジャズを使うんだなーと思いました。それと相変わらず女の子との関係に悲哀が満ちてるのが最高でした。共感は全然できないけど。そんで若かりし日のシルベスター・スタローンがちょい役で出てます。顔が濃いんですぐわかりますよ。あとこれまだ監督2作目らしいので、けっこう粗いつくりだけどそれはあまり気になりませんでした。

久しぶりにウディ作品観て、その魅力を再確認したので、最新作「人生万歳!」も観たくなりました。