レポゼッション・メン

レポゼッション・メン」観た。これ好き、超いい。こういうのすごい好み。人間、好みのタイプの映画だと、多少ストーリーが脆かったりしても惚れてしまうものだよ。というか、脚本が粗いみたいなレビューがいくつか散見されたけど、そもそもそういうのはそんなに気にならなかった。このB級ブラックテイストは普通におもしろいと思うであるよ。

これは私の「好き」のツボを気持ちよく刺激してくれる快楽の映画なので、あまり客観的に判断できてないところは諸々ありそうだけど、逆に言えばこういうテイストに痺れる方は必ず気に入ると思う。まずね、主人公のモノローグ中心に展開していく映画がすごく好き。「ファイト・クラブ」とか、最近のでは「ゾンビランド」とか。あと「アニー・ホール」もある意味「主人公のモノローグ(というかしゃべくり)中心に展開」する映画。で、モノローグ(つまり音声)とユニークな映像が組み合わさってると尚更最強。レポメンはまさにそうで、ジュード・ロウのモノローグと、スローとスピーディーが切り替わる映像の組み合わせがいい。この絶妙の緩急、独特のテンポ。一種のグルーヴが生まれ、そこにジュードのエロい魅力がプラスされてすごく色っぽい。それから生きてる人間から臓器を回収するレポシーンや人をバッサバサ切りまくるアクションシーンのバイオレンスで異常な光景のバックで、場違いなくらいハイセンスな音楽が流れるのも大好き。このアンバランスなB級感、いいよねえ。アクションそのものも「そうそう、そこなんだよねー!」と
唸りたくなるような気持ちのいいツボを押しまくるヌケのよさ。かと思いきや肝心なところで外してきたりして、これは完全に「狙ってる」。そんでその狙いにまんまとハマった私。いやあ、この色気はなかなかすごいよ。

この作品で一番評判悪いのは、あのオチだと思うんだけど、私はそんなに嫌いじゃないなあ。あまりにも唐突なオチなんで一瞬思考停止するけど、まあそうなるよなという納得のラストかと。あの「外し」具合もブラックで悪くないと思う。それより私が気になったのは、終盤の尻すぼみ感。ピンクのドア前の攻防あたりで明らかに息切れしてるっていうか、その後の勢いの消え方が…。あのクライマックスはとにかく壮大に、感動的に煽っていかなきゃ、最後のオチだってきいてこないわけで、オチどうこうより終盤のガス欠のほうが勿体ないと思ったであるよ。

それから、ジュードとフォレスト・ウィテカーがキャッキャウフフする映画でもあるよね。でもこの2人の関係性も一筋縄でいかないとこがいいよ。

結論としては、窮地に立たされた男の物語ってそれだけですごくエロい。