オリエント急行殺人事件

昨日は名作「オリエント急行殺人事件」を観ました。監督は「十二人の怒れる男」のシドニー・ルメット。私はちょうど今年の夏休みに「十二人の怒れる男」を観て気に入っていたので、この作品もとても楽しみにしていました。

この作品はアガサ・クリスティの名探偵ポアロシリーズの一作を映画化したもので、ミステリ小説好きの中では言わずと知れた名作だろうし、特にその分野に精通していない人でも作中の犯人を知っているほど有名みたいですね。私はたまたまこの作品について全然知らなかったんだけど、これ絶対にオチは知らないで観たほうがいい。わかって観てたら、ポアロの推理ショーが始まるまでの1時間半、けっこう退屈だと思うなー。こういうのってやっぱり推理部分に一番重きが置かれてて、それまではひたすら伏線。この作品を観て思ったのは、こういうミステリ小説を映像化する際に伏線部分をうまく見せていくっていうのはかなり難しいということ。巨匠ルメット監督といえども、冒頭はけっこう手こずってる印象。なにしろ容疑者が多い。オリエント急行に乗り合わせた全員が容疑者。この容疑者たちをさりげなく、かつわかりやすく登場させなければいけないわけで、これを映像でやろうとするのは至難のわざだ。

やっぱり、おもしろかったのは事件が起きてからで、ポアロが容疑者たちに取調べをしていくところなんかは見応えがあった。小説の場合、探偵が推理ショーを始めると、たいてい読者はページを戻って事件の流れを振り返ったりするもんだけど、映画だとそれができない。そこでルメット監督は、推理ショー場面で各容疑者の証言を反復・強調させながらポアロの推理を展開させていく。ここはとてもうまいなと思いました。これは他のミステリ作品でもそうだろうけどね、ミステリ映画の古典を観た気がした。事件の真相には単純に驚いたし、最後のポアロの提案も社会派のルメット監督らしいなと思った。そしてものすごくネタバレしたくなるんだけど、やっぱりこれはネタバレしちゃだめ。どんなに古典であってもなるべく人には話さないほうがいいね。

原作も読んでみたいな。

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