BOY A

昨日、「BOY A」という映画を観ました。

「BOY A」というのは、未成年の犯罪者にマスコミなんかがつける「少年A」って呼び名のことです。日本だけでなく外国でもこう呼ぶんだね。これは、かつて少年Aと呼ばれた青年が、施設から出て、働き、友達を作って、恋をして、新しい人生を歩んでいくお話。でもそう簡単にうまくはいかない。彼が背負っているものは、彼が思っているよりずっと重い。

このテーマは、こんなふうに映画化される以前から、私の中で大きな関心事でありました。犯罪者は罪を償わなければならない。それは当たり前。でも彼らがその後の人生を幸せに送る権利もきっとある。そのへんをどう決着つけるのか、これが、私がこの作品に期待していた最大のポイントで、とにかくラストがどうであるか、それが見たかった。

その点から考えると、この作品は期待に応えてくれたとは言い難い。描写は丁寧だし、演技もうまくて、いい作品だと思う。かつての少年Aの物語と同時に、彼の保護観察士とその息子の歪な関係が並行して描かれ、この二つの物語が微かに交わるときに悲劇が起こる、という展開もうまい。だけどそこから先、答えが見えない。もちろん答えを提示する必要はないわけだけど、何かしら前に進むヒントみたいなものが見たかったなー。やるせない気持ちになったよ。でもいい映画だと思います。ちょっとラストで考え込んでしまったけどね。

主演のアンドリュー・ガーフィールドくんの演技はとてもよかったと思う。彼はフィンチャー監督最新作「ソーシャル・ネットワーク」でも重要な役をやってるし、新スパイダーマンにも抜擢されて、今後ますます注目されるでしょう。あと彼と仲良くなる女の子が、嘘みたいに可愛い子じゃなくて「白鯨」ってあだ名のぽっちゃりした子で、そのリアルがとてもいいと思う。しかも白鯨ちゃんめっちゃ可愛いんだなぁ。私、あんな彼女ほしいよ(笑)彼女の決め台詞「ひどいわ、また先に言われちゃった」は泣けます。観ればわかると思うけど。それから保護観察士のテリー。とてもいいおっちゃんなんだけど、父親としてはダメなんだろうな。彼のちっちゃなちっちゃなほころびから悲劇に発展してしまうのが悲しい。保護観察士としてはパーフェクトなんだけど。

いつもそうなんだけど、作品の雑感を書いてから、役者やキャラクターについて書くと、最後どうやって記事を締めたらいいかわかんなくなる(笑)どうしようかな、どう締めよう。総合的な感想としては、私はラストで「あれ?」と思ってしまったけど、作品としてはよく出来てるし、一見の価値はあると思う。そしていろんなこと考えたらいいね。犯罪者と自分は違う世界の人間だなんて思ってたら、いつまでたっても状況はよくならない。私のスタンスはいつもこれです。


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