インビクタス 負けざる者たち

マット・デイモン好きー」と言いながら未見だった「インビクタス」を観た。以下、印象的だった点だけ簡単にメモを。

最後まで観ると、「ああ、これはハグの映画だったのだな」と思う。もっと厳密に言えば、ハグのようにソフトに触れるだけでなく、タックルやスクラムのように激しく体をぶつけあう映画でもあるのだけど。いずれにせよ、実際に触れ合うこと、相手の体温や呼吸を感じることを描いている。特に、選手同士のぶつかりあいが臨場感たっぷりに伝わってくるW杯決勝戦のシーンは素晴らしい。この映画を観てもラグビーのルールや戦術はほとんど解るようにならないけれど、それでもこの競技の魅力が十二分に伝わってくるのは、ラグビーを通して「他者に触れるあたたかみ」を描いているからなんだと思う。

お目当てのマット・デイモンは期待通り素晴らしかった。最近の彼は神々しさすら感じるほどに「善」を担う役者といったかんじだけど、この映画ではなんと後光がさしていた。これは比喩として言っているんじゃなくて、実際に背中から光を発していた、というかそのように撮られていた、ということ。かつてネルソン・マンデラが収容されていた牢獄を訪れたシーンは特にいい例だろう。窓辺に立ったマット・デイモン演じるフランソワの背中に陽光が射して、やさしく輝いていた。その姿はまるで祈りを捧げる聖人のようだった。