名作映画二本雑感
相変わらず顎の調子が悪いです。だからってわけじゃないけど短めに書きます。
「市民ケーン」
- 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
- 発売日: 2006/12/14
- メディア: DVD
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フィンチャーのオールタイムベスト26本にも入っているそうだけど、この映像へのこだわりようを見ればそれも納得。ロングショットにおける画面構成の美しさや照明が生み出す見事な陰影にはただただ見とれるしかない。そのすべての画・すべてのカットに隙を作らない貫徹した美意識は稀代の映像作家たるフィンチャーのそれと通じるだろう。雨模様の空をくぐり抜けカメラがナイトクラブへと入っていくカットは「パニック・ルーム」の縦横無尽なカメラワークを彷彿させるし、フィンチャーは本作からかなり影響を受けたんだなと今さらながら思う。
実際「ソーシャル・ネットワーク」に至っては、フィンチャー自身が「ジョン・ヒューズが撮った『市民ケーン』をイメージした」とその影響を語っていて、類似点もいろいろ見られる。まずもってして、この2作はどちらも「あるメディアによって一時代を築いた男」の物語。「ソーシャル・ネットワーク」ならFacebookで、「市民ケーン」なら新聞である。よくアメリカは、ヨーロッパ諸国(特にイギリス)との差別化を図るために「階級がない国」と言われる。ということは国民はみな平等に大衆であり、アメリカ文化とは大衆文化と言えるかもしれない。大衆文化と多くの人々に情報を発信するメディアとの関係は深い。ラジオやテレビがアメリカ文化においてどれほど重要な働きをしたかは言うまでもないだろう。だからメディアを描くということは、アメリカを描くということでもあると思う。「市民ケーン」の主人公ケーンは「アメリカ国民の代表として私は新聞を発行する」と言った。もちろんメディアは必ずしも国民の意見を反映するわけじゃないし、支配的な層に都合よく情報を発信することも多い。けれども、そうしたことを引っくるめてメディアはアメリカを映し出す、というよりも作っていく。そんなアメリカ大衆社会におけるメディアの重要性がこの映画には描かれているんじゃないだろうか。
「ブレードランナー」
ブレードランナー ファイナル・カット 製作25周年記念エディション [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- 発売日: 2010/04/21
- メディア: Blu-ray
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