マイティ・ソー(2D)

ずいぶん前になりますが、すべり込みで「マイティ・ソー」観ました。3D嫌いなので2Dで。もちろんお目当てはカメオ出演のあの方。

カメオさんについては最後に名前出して少し書くつもりだけど、それにしても何なんだろう、あのかっこよさは。出番短いし、特に何をするってわけでもないのだが、とにかく佇まいがかっこいい。しかも動けるし、うた……おっと危ないここでやめておこう。つづきは最後に。

映画自体もとてもよくまとまっていて、おもしろかった。家族でも、カップルでも、友達同士でも、そして一人でも楽しめる、夏の娯楽大作といったかんじ。3Dという新しい技術(といってもハリウッドの大作ではもう当たり前のものになってるけど)は使っているが、それ以外はとてもオーソドックスなつくり。

軸になっているのは、父と子、兄と弟といった家族のドラマ。言ってみれば、内輪の問題である。その内輪の問題に地球やヨトゥンヘイムの人々(?)が巻き込まれ、話が膨らんでいくんだけれど、「軸は家族ドラマである」という点を最後まで見失わないので、盛りだくさんな内容でもとっちらかった印象にならなかった。アクション、笑い、恋愛……それぞれのバランスがとてもよくて、いろんな要素を楽しめる。でもただの詰め合わせにはなっていない。それはやはり、ドラマを中心に見せるっていうのが一貫してできていたからなんだと思う。

監督に起用されたのはケネス・ブラナーで、私は彼の作品や仕事をよく知らないんだけど、一応英米文学を学ぶ人間として、「ローレンス・オリヴィエの再来」とも言われるようなシェイクスピア俳優であり、自らシェイクスピア作品を映画化してきた人という認識をしている。およそ現代とは程遠い衣装を身にまとった神話の世界の人々(神々?)を現代映画の中で描かせるなら、何百年も前に書かれたシェイクスピア作品を現代で再現してきたブラナーがぴったりということでの起用だったんだろうし、実際うまくハマってる。「ドラマを軸にユーモアやアクション(というか大きな動きのある視覚的表現)をふんだんに盛り込んで楽しませる大衆娯楽」というのは、シェイクスピア劇の理念(とか偉そうに言えるほどシェイクスピア読んでません、すみません!)とも一致しているように思う。

ただ、家族のドラマがメインなので仕方ないかもしれないが、ソーとジェーンの恋愛パートがちょっと控え目になりすぎている。まあ、あれ以上恋愛に比重が傾くとバランスが崩れてしまうだろうし、観ている間はそれほど気にならないんだけど。でもやはり思い返すと、ジェーンがソーに恋する理由はわかっても、ソーがジェーンに恋する理由はよくわからない。ジェーンじゃなきダメだ!って思わせるようなシーンが一つあるとよかったような。あるいは友情のままでもとても素敵な関係だったかと。

あと作品自体の評価とは関係ないけど、2Dで観ると、3Dのための構図の制限が改めて気になる。なんかこう、似たような画の繰り返しになってしまいがちというか。「アバター」級に力を入れてお金をかけてやればものすごいものができるのかもしれないけど、全ての映画がそこまでできるわけじゃないし。それと誰かが言ってたんだけど、今の3Dは距離感は出せても立体感は出せてないかんじ。まあ、そもそも私は3Dがまったく3Dに見えないので根本的にダメです。

役者陣について少し。主役のソーを演じたクリス・ヘムズワース、たぶん初めて見たけどよかった。恐れを知らず、仲間からの信頼も厚い、これぞアメリカの兄ちゃんってかんじ。「Facebookに写真載せるから笑って」って言われたときのビッグスマイルが最高。一方で、弱さを受け止める謙虚さもしっかり感じさせて、体はマッチョだけど中身はマッチョじゃない。ちょっと大型犬っぽくもあるね。トム・ヒドルストン演じる、線の細い弟ロキとの対比もよかった。華奢な体でいろんなものを背負ってしまったロキの姿が痛々しく悲しい。

ナタリー・ポートマンは最近出演作が立て続いて公開されてて、どれも全然違う役なので、彼女にとっては更なる挑戦と飛躍の時期という位置づけなのかな。個人的にはそんなに好きな女優じゃないんだけど、フットワークの軽さとワイドな活動ぶりは純粋にすごいと思う。ただ恋愛パートが脚本上ちょっと弱めだったんで、なかなか輝きが見せづらかった。「研究熱心で優秀な天文物理学者」っていうのはばっちりハマっててよかったんだけど。

最後にカメオさんについて。



アメコミの知識がまったくないんで知らなかったけど、ジェレミー・レナーが演じてたのは、世界最高の射手ホークアイという役だそうで。だから弓でソーを狙うのか。なんであの場面で弓を選んだんだっていう説明がまったくないから、ちょっとびっくりした。一言説明入れてもよかったのでは。ハルクやアイアンマンなどのマーヴェル・コミックのヒーロー達が集結する夢の映画「アベンジャーズ」に出演するとのことで、これも絶対観なきゃいけないな。だってジェレミー・レナーが弓を構えてるんだもの、こんなの観たくならないはずがない。そもそも彼をホークアイにキャスティングしたのが誰なのか知らないけど、絶対ジェレミーの弓を構える姿が見たいから選んだんだと思うんだよね。「狙撃銃を構える姿は見たから次は弓だ!」みたいな。いや、実際どうかはわからないけど。でも私がキャスティングできる立場だとしても、ジェレミー選ぶもんね。ファンの心をしっかり理解している。

というわけで、「アベンジャーズ」もこの作品の続編(作るよね?)も楽しみにしていますよ(強引すぎる〆)。