「ツリー・オブ・ライフ」の解釈のような何か(未見の方ご注意)

昨日、「ツリー・オブ・ライフ」観てきました。賛否両論の本作ですが、真ん中のドラマパートはなかなかおもしろかったです。最初と最後はもうちょっと編集どうにか……って思ったんですが、今日は感想を書くわけではありません。

この映画、ストーリーが難解というわけではないのに、よくわからないところがありました(というのは私だけ?)。それはショーン・ペンのパート。彼が演じる主人公ジャックが少年時代を回想し神に語りかける話、というのはわかるけども、ではなぜジャックはそんなことをすることになったのか?という点が、説明的な描写がまったくないのでよくわからない。しかし、イメージはいろいろと散りばめられています。だから、それらを繋げていけばこの映画が何を語っているか見えてくる……はず?まあ、私もちょっと考えてみました。で、自分なりにこうかなーと思うものがまとまったんで、観た人に聞いてみたいと思ったんだけど、ツイッターではネタバレになってしまうから書けない。というか、そもそもこの映画どこからがネタバレなんだ!?ネタバレってなんだ!?

ということで、ブログに書きます。ネタバレしてるからどうという映画でもない気がするけれど、未見の方はスルーしたほうがいいかも。逆に観た方は読んでくださると嬉しいな。

本作を観ていて気になった点がいくつかあって、それは1.ジャックが喪服を着ていること2.ずっと上がっていたエレベーターが最後下りてくること(そしてジャックは最後地上にいる)3.あの心電図のようなピッピッという音(他にもあるかもしれないけど、覚えてるのはこれくらい)。私は最初、事故だか病気だかで死にかけているジャックが天に召される直前に少年時代を振り返っている話なんだと思いました。ジャックが乗っているエレベーターは天国に繋がっているのね。そしてあの心電図のような音は、病院で心拍数や血圧を測る機械の音(名前何でしたっけ、心臓が止まるとピーッてなるやつ)。実際、三途の川みたいなところをジャックや家族(ジャックが少年だったときの姿のまま、年老いてない)やいろいろな人が歩いていきます。でも、最後ジャックは地上にいるんだよね。天国に通じるエレベーターも、最後は下りてきてる。とすると、ジャックは死んでしまったんじゃなくて、行って戻ってきているのではないか。そんでじゃあ、あの音は何なのかというと、あれはジャックのではなくて、彼の母親のではないでしょうか。

うろ覚えなのであてにならないけど、「弟と母が私を神(天の国?)に導く」というような言葉がどこかで出てきた気がします。ジャックの弟は19才という若さで亡くなっている。神に導く存在ということはたぶん死者を意味していて、描写はすごく少なかったけど、ジャックの母も亡くなっています。あとこれはよく覚えていないんだけど、庭に二人の亡骸が並べられているシーンがあったとかなんとか……。もちろん片方が弟で、もう片方が母。そして、「母を通じて私は神に触れた」というような言葉もあった(気がする)。

それで思ったんだけど、ジャックは母が亡くなる間際、彼女の傍らにいるときに、神との邂逅を果たしたんじゃないでしょうか。そして天の国を垣間見た。「母を通じて」というのは、母の死に際して神を感じた、ということ。三途の川のようなところを歩いた後に、ジャックと母と弟の3人だけになるシーンがありました。何か入口(出口?)みたいなものがあって、その向こうには何もないまっさらな世界が広がっている(何だか暖かそうだったよね)。弟は真っ先に向こう側へ飛び出します。母は入口のところに立って弟を見つめ、その背中をジャックがそっとなでる。あれは、母を天国へと送り出していたのではないでしょうか。若くして亡くなってしまった弟のもとに。あの何もないまっさらな世界は天国なのです。ジャックは三途の川までは行ったけど、天国の手前で立ち止まるの(何とも強引な説だが)。そして天へと母を送り出したジャックは、エレベーターで地上へと戻ってくる。

ジャックが喪服を着ているのは、母の葬儀に出席するため。最後のシーンは葬儀に向かうところか、帰るところか。それはまあわからないけども、ふと母の死の間際に神を感じた、そのときの体験を今一度振り返っている、そんなかんじではないかな。母が亡くなる直前に天国を垣間見て、そのときいっしょに少年時代を回想したのか、それとも天国を垣間見たことをきっかけにして、母の死後に少年時代を回想しているのかはよくわからない。もう一度観たらはっきりするかもしれないけれど。それ以前に、この解釈が合っている自信がまったくないです。でもこれで自分の中では筋が通るんだよな。観た方はどう思われたでしょうか。

ダラダラと書いたくせに中身のない文章ですが、ここまでお付き合いくださった方、ありがとうございます。日ごろ宗教というものをあまり意識しないことの多い日本人にはわかりにくいけれど、しかし私たちにも何か人知を超えたものに触れる瞬間、ふと神に出会う瞬間があるでしょう。それは人間ならば誰しもが経験する可能性のあること。そんな「誰にでもあること」を2時間半かけて壮大に語っているのが、「ツリー・オブ・ライフ」だと思います。それをどう受けとるかは各人次第ですが、パルムドールを獲得したというのは何だかおもしろい。感想はまた後日書けたら書きたいな。

【追記】かるーく書き足しました