アンノウン

今日は「リーアム・ニーソン大好き!超かっこいい!」な友達(18才・女子大生)に誘われて「アンノウン」観てきました。「アウトレイジ」や「キッズ・オールライト」の感想まだ書けてないけど、先にこっちについて書いちゃいます。そんなに言いたいことないので記憶がフレッシュなうちに軽く。(というかこの作品に関してはおもしろいレビューがいっぱい出てきそうなので、私は後出しするよか先に最低限言いたいことだけまとめるほうがよいかと)

この作品と同じジャウム・コレット=セラ監督の「エスター」は未見であるということを先に断っておく。こっちもたいがい無茶な話らしい。

ベルリンで行われる学会に参加するためアメリカからやってきたリーアム演じる植物博士が、交通事故に遭い4日間の昏睡状態に陥って、意識が戻ると、なんと妻は自分のことを忘れており、しかも自分になりすます男まで現れて、なんじゃこりゃ!こいつは俺じゃねえぞ!俺の妻を返せ!って闘う話。もうスタート地点からなかなかだけど、中身はもっとすごいの!

事前の評判からなんとなくどんな映画か想像はついていて、まあひどいところはいろいろあるんだろうし、そんなに期待とかしちゃいけない映画なんだろうなーとは思っていたから、特にズッコケることもなく楽しく観させてもらったけれど、それにしたってこれはあまりにもあんまりじゃないか。脚本は予想していたよりかなりキてる。ツッコミだしたら止まらないから、それはやらないよ?なんであんなに大切なカバンをあっさり置き忘れるの?とか真っ裸でシャワー浴びてる状態から服着るまで速っ!とか言わないよ?ね、わかるよね、そんなことしたら1分おきにツッコミだもんね?(最初のほうは「おめーの記憶は奥さんとイチャイチャしてることしかねーのかよ!」とか律儀にツッコミましたよねえ。。。)

ということで、ツッコミどころがたいへん多い映画なのだが、一番ひどいのはやっぱり終盤になって明かされる真相とその後の始末の仕方であろう。ネタバレして書いたらそれこそ際限がなくなってしまうからやらないけれど、なんぞこれ。真相そのものはまあそういうのもあると思うが、それよりも片づけ方!そんな片づけ方でいいわけない。できるわけない。でも何?しれーっとして終わりやがる?そりゃあないでしょう。無茶にもほどがあるでしょう。いやもうこれは逆に笑うさ。この荒唐無稽っぷりはもはや確信犯だし、しかも荒唐無稽であることになんらエクスキューズがない。この清々しさ。これは心置きなく笑ってくださいってことよね。というわけでラスト20分はしっかり笑わせていただいた。

話そのものは、だからかなりひどい(半分誉めてる)ことになっているわけだが、アクションサスペンスとしての演出はよかったと思う。カーアクションの迫力はなかなかだったし、まとめ方もうまい(こういうのはちゃんとできるのに話そのものはメチャクチャということは、やっぱり確信犯なのだろう)。それとオープニングが非常にサスペンスらしくていいのよね。この先キーワードとなりそうなものがちらっと映って、意味ありげなやりとりがあって、ズンズズンみたいな音楽が流れて(いたかどうかは定かではない)、緊張感を徐々に演出していく。よく見るかんじといえばそれまでだけど、こういうオーソドックスなことがちゃんとできるというのを最初に見せておくのは大切だと思う。

そして何より「リーアムに萌えられる」という点でこれは間違いのない映画だ。リーアムが好きならそりゃ気に入るにきまってるでしょうよ、と。単にリーアム無双になってしまうのではなく、常にリーアムが困惑気味で手さぐりにやっていくのがいい。自分はいったい何者なんだと落ち込む大きな背中にきゅんとする女性はけっこういるでしょう。実は若い女の子のリーアムファンは多い。そんな彼女達のための何も間違っちゃいない映画であることは確かなのだ。

ただ残念だったのは、リーアム以外のキャラがあんまり広がらなかったこと。ダイアン・クルーガーが演じたヒロインはもう少し丁寧なキャラづくりをしてほしいし、前半で出てくる暗殺者とかもっとおもしろくできたはず。悪役/敵役に広がりがない映画はやっぱりもの足りなく感じてしまうよね。ただその一方で、ブルーノ・ガンツフランク・ランジェラががっぷり四つに組み合うシーンは渋くて締まってて、若手のイケメン俳優を出すことなくひたすらおじさま方に焦点をあてるあたりには、軸のぶれなさを感じた。あの二人はもっと活かしてほしかったんだけど。

あとはもっと色気がほしいよね。音楽でも文学でもそうだけど、色気って大事ですぜ。

とまあ、中身のない感想になったが、言いたいのは、変な期待はせずとりあえず何が「あまりにもあんまり」なのか劇場に確かめに行きましょう、ということ。そしてできれば友達を誘って観てほしい。そして観終わったらあーだこーだ言う。このあーだこーだのほうが映画そのものより楽しいかもしれない。あとリーアム好きの女子なら観て損は絶対しない、ってこれは私が言うまでもなくみんなわかってるか。