ロード・オブ・ドッグタウン

先週の金曜日に観てからずっと書きそびれてた、映画「ロード・オブ・ドッグタウン」の感想を記しておきます。一週間も書かないでいた理由は、単純に観た日に書く時間がなくそのまま時間が経ってしまったというのもあるけど、個人的にこういう実話を基にした映画ってなぜか言葉にしづらくて、書くのを避けいたというのもあります。何でだろう?「ミルク」も感想書くの楽じゃなかったしなぁ。

感想が書きづらいからといってこの作品を気に入らなかったわけじゃなく、むしろラスト20分くらいずっとじーんときていたほどで、とても良質な青春映画だと思う。まず題材からしてかっこいい。アメリカ中にスケボー旋風を巻き起こした若者達の夢と喪失と友情。何かを得ると同時に、もっと大切な何かを失う、青春の終焉の話。こういうテーマには弱いよ。

この作品のうまいところは、冒頭では各々の個性があまり感じられない主人公3人が、物語が進むごとに三者三様の選択をして、それぞれまったく違った道を歩んでいく姿をしっかり対比させながら見せていくところ。最初は地元のサーフィン仲間の一部にすぎなかった彼ら。みんな一緒だったし、絆も深かった。それが、スケボーの世界に出て名声を勝ち取りはじめると、3人バラバラになっていってしまう。その様子をはっきりと丁寧に描いてる。3人が3人とも、異なった形ではあれ、何かを失いながら生きていく。それを3人のうちの誰かの立場によることなく、すごくフェアに中立な視線で描いているから、それぞれの痛みが伝わってくるんだろうなぁと思う。

ストーリーについてちょっと触れると、こういう何かしらのグループ、組織が大きくなっていくときってどうしても仲違いがつきもので、ある程度仕方のないことだと思う。誰か一人のせいってわけじゃない。この作品の場合、元々スケボーチームを仕切っていたスキップが儲けを独り占めしてしまったり、マネジメント能力に欠けていたりしたことがほころびのきっかけになる。だけどスキップっていう男は基本的にとてもいいヤツだよね。地元の若造達をまとめて、サーフィンを教えてやるんだから。彼は元々金儲けがしたかったわけじゃなく、選手のマネジメントもするつもりはなかっただろう。だから、チームが大きくなってそれ相応のマネジメントが必要になっても対応できなかったし、流れ込んでくるお金もどうしたらいいかわからなかった。チームが機能不全に陥り、選手が皆出て行ってしまっても、それはスキップのせいだけじゃない。そのへんもすごくフェアに描いてるし、ヒース・レジャーが演じることでこの男の元々の人の良さが伝わってくるよ。だから、ヒースがサーフボードを磨き始める場面から最後までの20分間、もうずっと泣きそうで仕方なかった。最
後、どんなふうに物語が終わるのかは書かないけれど、主人公3人の友人シドがすごく重要ないい役で、ほんとのこと言うと「泣きそう」だったんじゃなく「泣いた」ってことだけ書いておく。